LONDON HYDE PARK 1969/Blind Faith

さて、スティーヴ・ウィンウッド・ファンには非常に重大なお知らせです。
明日19日、NHK-BS2にて、午後11:00より「黄金の洋楽ライブ」という番組で、ブラインド・フェイスのデビュー・コンサートの模様が放送されます。快挙!
1969年のはじめより、当初はトラフィックを解散したスティーヴ・ウィンウッド、クリームを解散したエリック・クラプトンとジンジャー・ベイカーはかなり気楽な感じのセッションを楽しんでいたようですが、やはりこの顔ぶれが集まっていると知っては、放っておくわけにはいかない周囲の人間が沢山いたわけで、すわスーパーグループ結成、即レコーディング、ツアー、というマネージメントの思惑が彼らを苦しめることになります。3人で進行していたアルバム制作でしたが、途中からベーシスト&ヴァイオリニストとして元ファミリーのリック・グレッチを加えた4人組でレコーディングを続行。そしてまだアルバムの出ていなかった6月7日、ロンドンはハイド・パークで行われたフリー・コンサートで、ブラインド・フェイスははじめて観衆の前に姿を現します。
デビュー・アルバムに収められた6曲のほか、ブルーズ・ナンバーの"Sleeping In The Ground"、トラフィックの"Means To The End"、そしてなぜかローリング・ストーンズの"Under My Thumb"のカヴァー、というのが当日のメニューですが、やはり初のライヴ演奏ということもあって、 特にエリックがかなり不安そうな表情を浮かべていますし、リック・グレッチのベースもややミスが目立ちます。ジンジャーはけっこうマイペースで、あいかわらずぶっ飛んだ演奏なのがすごいですが、スティーヴも荒さはあるものの声に爆発力があって、さすがまだ21歳の勢いを感じます。音程がいまいちな気もしますが、元々正確なピッチが売り、というタイプじゃないですし、屋外のコンサートのモニター環境は69年という時代背景を考えると、かなり劣悪なものだったことも想像されるので、これは仕方ないところ。そういった部分も含めて、これはとにかく大変歴史的価値のある記録だと思います。
このコンサート、一応DVDで発売済みですが、手に入るものはリージョン1。日本国内で再生するにはプレイヤーのリージョン・コードを変更せねばならず、非常に面倒でしたので、オンエアは大変歓迎すべき事件!
未見の方はぜひご覧になってください。
このコンサートを皮切りに、ブラインド・フェイスはスカンジナビア・ツアーを敢行。演奏内容は徐々に上向きになっていきます。8月のアメリカツアーではスティーヴがギターを弾くことが増えたり、"Sunshine Of Your Love"や"Crossroads"なども新しい解釈でとりあげられ、ブート等で残されている音源でもスティーヴとエリックの掛け合いヴォーカルが聴ける等、興味深い演奏が聴けます。しかしやはりオリジナルをじっくり練り上げる時間を与えてもらえず、ツアーに明け暮れなければならなかったバンド内にはさまざまな不協和音が起こったことは想像に難くないわけで、このままブラインド・フェイスは空中分解。非常に惜しい、というより他ありません。アメリカツアー中の楽屋で、アポロ11号の月面着陸をテレビで見ていたジンジャー・ベイカーは、その途中で出番を告げられたものの、「今歴史的瞬間なんだ!ライヴなんてやってられっか」と言ったかどうか定かではありませんが、演奏に出て行くのを渋った、なんてエピソードもあったようです。
ご承知のとおり、昨年スティーヴとエリックの2度の共演があり、熱演は心を打つものでしたが、「ブラインド・フェイス」という観点からすると時間が経ちすぎた、という印象は拭えませんでした…。
もちろん、2月25、26、28日のマジソン・スクエア・ガーデンの二人の公演はありますが、あくまで二人のコンサートとして接するのがいいのかもしれません。とはいえ、さらなる音楽的新展開があるのか、期待したいところです。
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