"Nine Lives" Out Now!!(part 3)
2008-04-30

6曲目の"Hungry Man"はジョゼー・ネトがライヴのサウンドチェックで弾いたフレーズが元になっているとかで、彼の名前も作曲者クレジットに入っています。"Raging Sea"と、この6曲目以降はすべてジョゼーがクレジットされていますが、主要なリフなどを考えたのが彼、ということなのかもしれません。
話を"Hungry Man"に戻すと、ブラジルのパーカッション奏者、アイアート・モレイラと南アフリカで共演したジョゼーがそこから持ち帰ったアイディアらしいですが、なるほど6/8拍子のコード分解フレーズはリンガラやジュジュ等のアフロ・ポップスの匂い。アフリカや南米の音楽に昔から親しんでいたスティーヴは、かつてアフリカのミュージシャンとThe Third Worldというユニット名義(もちろん同名のレゲエ・バンドは別物)で『AIYE-KETA』なんていうアルバムを制作したこともありましたし、こういったビートをやってもさすが無理がないですね。
この曲に参加しているもうひとりのギタリスト、ティム・キャンスフィールドは97年頃のライヴメンバーだったり、最近のライヴでもジョゼー・ネトの欠席時にヘルプしたりと時折スティーヴを手伝っているセッション・ミュージシャン。ギターが同時に2本鳴っている箇所はないようなので、どこかでジョゼーと弾き分けているんでしょうね。
次の"Secrets"はサンタナっぽいラテン・ビート。といってもサンタナ風の泣きのギターはなく、ハモンドのクールなコード弾きとジョゼーのシャープなリズムギターを中心にした渋いサウンドは、ジョー・バターン等の、60年代にラテン・ソウルやブーガルーと称されていた音楽を彷彿とさせます。冒頭のメロディは"Dirty City"とそっくりですが、スティーヴの曲はそういう現象が時折みられるので、意識的じゃないと思われます(笑)。オクターブで重ねているポールのフルート・ソロも面白い。ポールはフルートを吹きながら同じメロディをユニゾンでハミング(?)する、なんていうワザも披露してます。
軽快な"At Times We Do Forget"はいかにも英国産ファンキー・ソウル。アベレージ・ホワイト・バンドとか、ドラマーのリチャード・ベイリーも一時在籍していたココモあたりがやりそうな、シャープなカッコいい曲ですが、パーカッションの効果もありキメの部分はラテンぽくなるし、やっぱりハモンドのベースラインが不思議な質感を作っています。やはりこれはウィンウッド・バンドにしかできないソウル・サウンド!
そして最後の"Other Shore"も間違いなく今作のハイライトのひとつ。最初のほうは"Slowdown Sundown"や"And I Go"などを彷彿とさせる、スティーヴの夕暮れっぽいナンバー(歌詞はどっちかというと朝日っぽいですが)の系譜に属するものですが、サビでガッツあるブルージーな展開になるのが実にソウルフル。これは興奮します! 終盤のパワフルな演奏もすばらしく、突然熱さを増すリチャード・ベイリーのスティックワークもたまりません。ライヴで見たい!これはバンドメンバーも特別な思い入れのある曲のようです。

この曲もそうですが、グロースターシャーの田舎に長年住んでいるスティーヴ(ナッシュビルに居を移した時期もありましたが…)らしく、自然現象に絡んだ歌が目立つのも今回の特徴。もちろん作詞はピーター・ゴッドウィンなわけですが、スティーヴの生活ぶりを外から見ていて感じたことなども反映されているんでしょう。スティーヴは地元の自然保護活動などにも積極的に参加しているようで、日本盤に付属するDVDにもそのあたりのくだりが出てきます。
ところで表ジャケとブックレット(兄のマフもいますね)に少年時代のスティーヴの写真が出てきますが、なんでも9歳のころの写真らしいですよ。あくまで9にコダワるわけですね(笑)
そしてDVD付き限定版も登場!




