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Steve Winwood(1977)

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スティーヴの記念すべきファースト・ソロ・アルバムは77年の6月、トラフィック解散後3年経って発売されました。3年の間、サルサ界のスーパー・グループ、ファニア・オールスターズの『Delicate and Jumpy』やツトム・ヤマシタのプロジェクト『GO』(いずれも76年)への参加など、ちょっと意外なところに顔を出していたスティーヴでしたが、その成果はこのファースト・アルバムにも反映されているんじゃないかと思います。

当時はソウルやファンク等の音楽がかなり市民権を得てきて、ディスコが世の中を席巻するようになり、どことなくブラック・ミュージックの本質が見えづらくなってきた時期でした。ロックは大産業になってフリートウッド・マックやピーター・フランプトンが特大ヒットしてましたし、日本で人気があった洋楽は私の記憶ではキッスやクィーンやエアロスミスあたり。さらにあの頃はセックス・ピストルズが登場して、パンクとかいうとんでもなくアブナイ音楽があるらしい!なんていうのが新聞などにも載ったおぼえもありますが、そんなちょっと谷間な?時代だったわけです。しかしこのアルバムのサウンドはそんな混乱した音楽トレンドなどどこ吹く風の、黒人音楽をさらに深く咀嚼しまくった、29歳になったばかりの青年がやる音楽にしてはえらく大人っぽい、控えめながらスティーヴ流ソウル・ミュージックがバッチリ表現された名盤だったのです。

最初の"Hold On"はスローなトレモロがかかったローズ・ピアノの響きが時代を匂わせる都会的なサウンド。いきなり夜っぽいムードといいましょうか。ドラムスのアンディ・ニューマークとベースのウィリー・ウィークスの白人黒人コンビは、ジョージ・ハリスンの『Dark Horse』やロン・ウッドの『Now Look』 などで絶妙なグルーヴを聴かせていたリズム隊ですが、この二人をバックにスティーヴがキーボードやギター、コーラスなどを重ねています。トラフィックの"Graveyard People"で初めて手にしたシンセサイザーをここでもかなり活用していて、その後何年かのスティーヴのトレードマークとなる音色も聴けます。

"Time is Running Out"も実に聴き応えのあるパーカッシブなファンキー・サウンド。Bメロの転調がまたスティーヴらしいヒネりが効いてます。リズム隊一丸となったグルーヴが強力ですが、あくまでクールなんですね。これもアンディ&ウィリーのリズム隊ですが、ジム・キャパルディ(作詞も4曲担当)とリーバップ・クワク・バーのトラフィック組がパーカッション部隊として参加してますし、コーラスでクレジットされているニコルという人はスティーヴの最初の奥さんですね。これもギターとキーボード類はスティーヴが全部やっています。

"Midland Maniac"はスティーヴ一人の多重録音。たぶんドラムはこれが初披露だと思いますが、さほど難しいことはやっていないものの、ハイハットワークなどかなりこなれたプレイ。実は昔から結構やっていたんじゃないかと思わせるマルチプレイヤーぶりです。最初バラード調で始まりますが(ここも部分転調とかコード進行凝ってます)、途中すこしレゲエがかった8ビートになったりもします。このあたりはさすが60年代からジャマイカ音楽を紹介していたアイランド・レーベルに在籍していたスティーヴならではといいましょうか。

"Vacant Chair"ではボンゾ・ドッグ・バンドのヴィヴィアン・スタンシャルが歌詞を手がけています。彼はこのつながりで次作以降も詞を提供することになります。
イギリスの名ファンクグループ、ココモからアラン・スペナー(B)とジョン・サスウェル(Dr)のリズム隊が参加。アランはグリース・バンドにいた人ですね。なぜこの曲だけリズム隊を替えたのかちょっと気になりますが。
ちょっとほのぼのムードで始まりますが、中盤のギターソロでマイナーの緊張感ある雰囲気になるのが渋いところ。ここで聴けるスティーヴのギターソロは絶品!たった7小節と短いし、難しいテクニックも全く使っていませんが、音色といい無駄のないフレーズの組み立てといい、彼のキャリア中でも5本指に入る、非常によく歌っている名ソロだと思います。例のシンセもばっちり入っていますね。シンセつながりなのか、3年後の大ヒットシングル、"While You See A Chance"のB面に収められた曲でもあります。

"Lucks Inn"は6/8拍子のイントロから6/4拍子の本編、さらにサビは4/4拍子へ、とちょっとトリッキーなリズム技を効かせたラテン・テイストもあるナンバー。歌に入ってからの転調や、歌い終わりの方の部分転調などはスティーヴならではのアレンジメントの妙。アンディ&ウィリーにリーバップを加えたリズムセクションの強力な魅力もはっきりわかります。
蛇足ですが、これと"Time is Running Out"のちょっと難解な緊張感みたいなものが、新作『Nine Lives』で復活していている、と思うのは私だけでしょうか…。"Raging Sea"などを聴くと、ナルホド、という感じがあると思うんですが。

最後の"Let Me Make Something In Your Life"はスケールの大きなピアノ・バラード。これもアンディ&ウィリーをバックに気持ち良さそうに歌っていますが、思いの外セクションが多くて複雑なつくりだったりして、この時代のスティーヴの作曲傾向がわかります。当時プログレ系とかも案外聴いてたのかもしれませんね。ここでもまた終盤に素晴らしいギターソロを弾いています。

当時の流行りものとはかなり距離のある音楽だったとも言えるし、少し難解なイメージの曲もあったためなのか、残念ながらここからヒットは生まれませんでした。同じ「難解」でもヒット組のイエスやピンク・フロイドのように派手な仕掛けには欠けていましたし。しかしファンの間では非常に愛されているアルバムで、スティーヴのソロの中ではこれが一番好き、という人も少なくないはず。試行錯誤は見えてきますが、やはりタダモノではない!という瞬間が山ほどある名アルバムです。

翌78年にスティーヴは初のソロ・コンサートを行っていますが、それについてはまたいずれ。


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テーマ : 洋楽ロック
ジャンル : 音楽

Tag:solo works  Trackback:0 comment:0 

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かっこいい本物の音楽が大好きな中年です。
ロックの世界をSW中心に考えてみる。
SWについて、もう好き勝手に、迷惑なほど語りますんで悪しからず。
過去記事にも後で気づいたことはガンガン追記、書き換えしまくるので不親切極まりないですが、自分のブログだしやりたい放題で行かせていただきますっ。


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