Second Album/The Spencer Davis Group

先日のMSG公演で、スティーヴが久しぶりに歌った"Georgia On My Mind"に思わず「スティーヴィー!」と叫びたくなった人は多かったんじゃないかと思います(あえて紹介しませんがYouTubeにあがってますね)。もちろん彼がスペンサー・デイヴィス・グループ(SDG)時代に歌った、ホーギー・カーマイケル作品。レイ・チャールズ・フリークだった若きスティーヴにとって、この歌に挑戦することは必然だったと思いますが、それにしてもこのSDGのセカンドアルバム(1966年)に収録されたヴァージョンには、弱冠18才のスティーヴの天才ぶりがおそろしいほどに焼き付けられているわけです。
当時ラジオで流れてきたこの曲を聴いて、黒人シンガーが歌っていると思った人も多かったようですし、同時代のイギリスのミュージシャンにも少なからず衝撃を与えたと聞きます。もちろんMGSのコンサートで感慨深くこの歌を聴いたであろうエリック・クラプトンもその一人でしょうし、映画『Red White And Blues』の中で、とある大学のコンサートでこれを歌うスティーヴを目撃した時の特別な思いをジョージィ・フェイムが語る場面は、この映画の中でも印象に残るものでした。本当に天才少年現る!という感じだったのでしょうね。
強力なヴォーカルはもちろん、間奏のピアノ・ソロもまた信じられないほどの成熟ぶり。スティーヴ自身、後年ここまでジャジーなプレイを披露したことはないので、80年代のスティーヴから遡った人は、逆にこの頃のほうが大人っぽい演奏に聞こえるかもしれません。
DVDにもなっているこのドイツでのパフォーマンスではハモンド(これはB-3ではないです。A-100っぽい?)を弾いていますが、これまたクラクラくるほどの出来!

このなかなかお洒落なジャケットのセカンド・アルバムも、ガーネット・ミムズのレパートリーをとりあげた1曲目の"Look Away"からして、かなり渋い雰囲気ですし、明らかに当時のビート・グループ達のレコードとはひと味もふた味も違った味わいになっています。誤解を恐れずに書くと「高級品」という言葉がふさわしいような。ジャマイカ人シンガー、ジャッキー・エドワーズのペンになるヒット曲"Keep On Running"にしても、軽快さの中にも落ち着きや気品が光っています。カーティス・メイフィールドが率いたインプレッションズの名曲"You Must Believe Me"もこのスティーヴの持つ感覚にピッタリの選曲。バンドの純粋なオリジナルとしてはスティーヴがスペンサー・デイヴィスと共作したマイナー・ブルーズ"Hey Darling"があるだけですが、かなり大人のムードですし、とにかくスティーヴの歌の濃厚さはどれも溜息ものです。これを中和するかのようなとぼけた味の(?)スペンサーのヴォーカル曲がいくつかあるのもまたSDGではありますが。
一昨年、スティーヴとマフのウィンウッド兄弟在籍時のオリジナルアルバムの全てが紙ジャケットで再発という快挙のあったSDGですが、今またかなり入手しづらくなっているようです。以下のアマゾンのリンクもかなり価格高騰していますね…。中古盤などで見つけたらとにかく買いです!
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Comment
こんばんは!
こんなに充実したブログをおやりなのですね。頭が下がりますです。
天才少年、神童と呼び方はいろいろありますが、ホントにミュージシャンとして素晴らしい方ですね。
SDGの紙ジャケットCDは、発売と同時におさえました!
2枚組ベスト盤いっぽんやりだったんですが、遅まきながらその凄さに目覚めたきっかけになりましたよ。
SDGのオリジナルアルバムはアナログで持っていたので、
紙ジャケCDのほうはそのうち買えばいいか~、
と思ってたらあっという間になくなってしまいましてガッカリ…。
で、中古盤なんかをときどき見ていたら、なんとなくいろんな場所で1枚ずつ発見しまして、
ようやく3枚そろったのでホッとしてます。油断大敵でした~。
SDG時代のスティーヴの天才ぶりはほんとにすごいですが、
そこで天才少年の上にあぐらをかかず、自分の音楽を作っていった過程で、
SWらしさがどんどん出てくるところもまた素晴らしいなと思います。