Live at Santa Monica

パッケージも新たにようやくDVD化されたトラフィックの"Live at Santa Monica"をようやく入手しました。新たに、とはいえちと安普請な感じもありますが…。
英チェリーレッドからのリリースですが、もちろんリージョンフリー。めでたしです。
この映像、80年代の後半にVHS化され、動くトラフィックをまとめてみる機会などほとんどなかったファンの溜飲を下げたものでした。個人的にも何度繰り返して観たことか。こちらでもこの作品について少し触れましたが、時期的には71年の"The Low Spark of the High Heeled Boys"と73年の"Shoot Out at the Fantasy Factory"の間、ということになります。私は長いこと、これは73年と思っていたんですがパッケージには72年とありますね。ってことは72年末かもしれません。"Low Spark~"アルバムのリズム隊だったジム・ゴードン(dr)とリック・グレッチ(b)は、マッスルショールズの熟練スタジオマンのロジャー・ホーキンス(dr)とデヴィッド・フッド(b)に交替していますが、ライヴ盤"On The Road"に参加しているバリー・ベケット(key)はまだ未加入。
英国トラッド的風情と、ファンキーなサザンR&B、さらにはアフロビート的なものが絶妙に混じり合ったこの頃のトラフィックの演奏が存分に楽しめ、画質も良く、素晴らしい内容になっています。しかし、ひとつだけどうしても気になることがあります。スティーヴ本人に元気がないんです。
"Low Spark~"や"Rainmaker"のようなクールに進んでいく曲では気になりませんが、他の曲になっても明らかにパワーをセーブしている感じ。ググっといくべきポイントは一応押さえてはいるものの、例えばこの"40,000 Headmen"の歌い出しなどは、どうもうまく身体に力が入ってないようにも見えます。
この68年の強力な歌唱にくらべると、違いは明らか…。
しかしそれもそのはず。このアメリカツアー中にスティーヴは腹膜炎で入院、かなり危険な状態に陥ったといいます。確かにずいぶん顔色が悪いし、頬もこけて目もどこか虚ろだし、ずいぶんやせ細ってしまったように見えますよね。最後の"Dear Mr.Fantasy"が終わった後の「サンキュー」の声の弱々しさはかなり観ていて辛いものがあります。SDG時代から長らく続けて来たツアー生活のしわ寄せがこのあたりから出て来たのかもしれません。
その証拠に73年に病から復帰したあとのこの映像ではずいぶん表情に生気が蘇って、声の張りも戻っているようにも思います。やっぱりミュージシャン、身体が資本です…。
しかしながら、現役で活動中のトラフィックのステージの様子をまとめて体験できるソフトは現状これだけなわけで(もちろん94年再編のときのものはありますが)、YouTubeの小さい画面も悪くはないけど、ここはやはりDVDの大画面でじっくり堪能するのが良いのではないかと。また、クリス・ウッドのバンド内における巨大な影響も再確認できるはず。話はそれますが、クリス・ウッドの生前進行していたソロ作品がリリースされるとのこと。これまた気になりますね…。
何はともあれ、このDVD、なくならないうちにぜひゲットしておくことをおすすめします。
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