Player 7月号

今回は雑誌媒体への露出も多く、なかなか嬉しい傾向ですけど、今店頭に並んでいるPlayerに掲載されているスティーヴのインタビューはなかなか興味深い内容になってました(表紙はフー・ファイターズのデイヴ・グロールですけど…笑)。
海外の雑誌やサイトには色々とインタビューも載っているんですが、日本語訳されているものはあまり見なかったので、英語に弱い私などにはありがたい限りであります。

あの超サイケデリックなトラフィックの1stを作っていた頃、コテージでメンバーと合宿生活をし、多くの有名(その後のドラッグ中毒ぶりでも有名な…)ミュージシャン達も出入りしていた中で、ドラッグそのものには懐疑的だったこと、60年代を安易に美化していないこと。それからジミ・ヘンドリックスを必要以上に賛美していないこと。
「ヘンドリックスは驚異的なミュージシャンだったけど、Tボーン・ウォーカーより素晴らしい、とは言えないな。みんなそれぞれが全然違う個性を持っていたんだから」
みたいなことは、考えたら非常に当たり前で率直な意見。
音楽ジャーナリズムはセンセーショナルなヒーローを持ち上げたがりますが、やはりリアルタイムで当時のシーンのど真ん中にいつつも、常に音楽そのものの良さだけを伝えてきた人ならではの発言。インタビューのどこを読んでも、常に視点はそこにあるのが感じられます。
『Junction Seven』をプロデュースしたナラダ・マイケル・ウォルデンとの録音時のやりとりもちょっと興味深いもの。
かつてはマハビシュヌ・オーケストラに籍を置く超絶ドラマーだったナラダが、小さなドラムマシンをプログラムしているのを不思議に思ったスティーヴは、なぜ生ドラムを叩かないのか尋ねたそう。「叩いたほうが早いんじゃないの?」ってとこでしょう。
ナラダの答えは、
「ヒットチャート上位のアルバムに生のドラムなんて入ってないんだよ。」
だったという話。
ヒットさせる使命を帯びてプロデュースを引き受けた仕事人ナラダと、ただいいレコードを作りたいだけのスティーヴとのズレが、あのアルバムの座りの悪さを生んだんだな、ということも見えてきて少し切なくなります。
しかし、その経験があってこそ『About Time』と『Nine Lives』という時代を超越した作品が生まれた、という考え方もできそうです。
「物事はしばしば時代に影響されるもの。(中略)今僕がやっていることと以前にやってきたことには共通するひとつの筋道、流れがあると思いたいね」
と、ご本人もおっしゃってるわけで、様々な紆余曲折、試行錯誤も、無駄になったことなどひとつもないのかもしれません。
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