"Nine Lives" Out Now!!(part 1)

というわけで、待ちに待った5年ぶりのニューアルバム『Nine Lives』がついに発売となりました。国内盤まではまだひと月あるので微妙にフライング気味ですが…。
当初2月のMSG公演に合わせて発売される予定がここまで遅れ、ヤキモキさせられはしました。しかし!待った甲斐がありました。
当初は『About Time』の続編を作るつもりだった、と語っていたスティーヴでしたが、前作の良さはキープしつつ、新鮮な要素もあり、2003年以降の好調が持続されている感じ。『About Time』を最高傑作と思っていた人も考えが変わるかもしれません。もっとも比較すること自体ナンセンスですけどね。

現在のツアーメンバー、ジョゼー・ネト(Gt)、リチャード・ベイリー(Dr)、カール・ヴァンデン・ボッシュ(Perc)、ポール・ブース(Sax,Fl&Kbd)の4人とのセッションが曲作りの基本となっているらしく、考えようによってはスティーヴを含めた5人のバンドによるアルバムという見方もできるかもしれません。そんなところもちょっとトラフィック的。
前作にひきつづき、もちろん全てハモンドによるベースパートなので、このバンドにしかありえない独自の音像ができあがっているといえます。
前作ではスティーヴ自身の歌詞がいくつかありましたし、奥さんのユージニアや、他にも何人かのソングライティング・パートナーがいましたが、今回は元メトロのピーター・ゴッドウィンが全ての歌詞を書いていて、前作よりも曲ごとにストーリー性を持った曲が多い、という印象もあります。スティーヴとしてもコンセプトアルバムというよりは、9つの異なった命を持つ曲を集めた短編集的なアルバム、という意識があるようです。
今回も基本はハモンドB3を大フィーチャーしたアルバムではあるものの、前作ではまったくギターを弾かなかったスティーヴがいきなりブルージーなアコースティック・ギターを披露するオープニング・ナンバー "I'm Not Drowning"がなんとも意表をついています。このファンキーでメリハリの効いたスティーヴの歌を聴くと、並々ならぬ気合いが伝わってきてゾクゾクしてしまいますね~!この曲のみピーター・ゴッドウィンの歌詞が先に出来、スティーヴが後から曲をつけたそう。ロバート・ジョンスンがまだ生きていて、チェルシーあたりで歌っていたら、というのがテーマの歌詞らしいです。
このスティーヴのアコギ・プレイですが、キーはBフラット。先だってRolling Stone誌のサイトでも見られた弾き語り映像(現在は消されてしまいましたが、YouTubeで復活したので貼っておきます。ちなみに日本盤に付属するDVDはこのドキュメンタリーの字幕付き30分越えのフル・ヴァージョン!)では、レギュラー・チューニングを全弦半音下げにして、Bのフォームでプレイしているのが確認できました。
しかしこれがクセモノ! あくまで主観ですが普通にギターだけ弾いている人だと、あまり発想しないような弾き方。この曲調であれば、レギュラー・チューニングなら開放弦をルート音に使えるEやAのキーで弾きたくなるところでしょう。ところがこれを5弦2フレットをルート音にしたB7(#9)のフォームを基本型に、解放弦なども織り交ぜて、おまけにフラット・ピッキングで不思議なムードのブルーズにしてしまうあたりは何とも驚かされます。映像を見ているとラクに弾いているように見えるし、変なフィンガリングにも見えませんが(普通にEを弾いているように見える)、一応ギター歴30ウン年の私も試してみたところ、スムーズに弾くのはかなり難しいです…。
全曲についてコメントしたいところですが、書いているととんでもない長さになりそうなので(笑)次回に続く…。
なお、現在入手できる『Nine Lives』のバリエーションはこんなにあります。
困ったもんです…。
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