"Nine Lives" Out Now!!(part 3)

6曲目の"Hungry Man"はジョゼー・ネトがライヴのサウンドチェックで弾いたフレーズが元になっているとかで、彼の名前も作曲者クレジットに入っています。"Raging Sea"と、この6曲目以降はすべてジョゼーがクレジットされていますが、主要なリフなどを考えたのが彼、ということなのかもしれません。
話を"Hungry Man"に戻すと、ブラジルのパーカッション奏者、アイアート・モレイラと南アフリカで共演したジョゼーがそこから持ち帰ったアイディアらしいですが、なるほど6/8拍子のコード分解フレーズはリンガラやジュジュ等のアフロ・ポップスの匂い。アフリカや南米の音楽に昔から親しんでいたスティーヴは、かつてアフリカのミュージシャンとThe Third Worldというユニット名義(もちろん同名のレゲエ・バンドは別物)で『AIYE-KETA』なんていうアルバムを制作したこともありましたし、こういったビートをやってもさすが無理がないですね。
この曲に参加しているもうひとりのギタリスト、ティム・キャンスフィールドは97年頃のライヴメンバーだったり、最近のライヴでもジョゼー・ネトの欠席時にヘルプしたりと時折スティーヴを手伝っているセッション・ミュージシャン。ギターが同時に2本鳴っている箇所はないようなので、どこかでジョゼーと弾き分けているんでしょうね。
次の"Secrets"はサンタナっぽいラテン・ビート。といってもサンタナ風の泣きのギターはなく、ハモンドのクールなコード弾きとジョゼーのシャープなリズムギターを中心にした渋いサウンドは、ジョー・バターン等の、60年代にラテン・ソウルやブーガルーと称されていた音楽を彷彿とさせます。冒頭のメロディは"Dirty City"とそっくりですが、スティーヴの曲はそういう現象が時折みられるので、意識的じゃないと思われます(笑)。オクターブで重ねているポールのフルート・ソロも面白い。ポールはフルートを吹きながら同じメロディをユニゾンでハミング(?)する、なんていうワザも披露してます。
軽快な"At Times We Do Forget"はいかにも英国産ファンキー・ソウル。アベレージ・ホワイト・バンドとか、ドラマーのリチャード・ベイリーも一時在籍していたココモあたりがやりそうな、シャープなカッコいい曲ですが、パーカッションの効果もありキメの部分はラテンぽくなるし、やっぱりハモンドのベースラインが不思議な質感を作っています。やはりこれはウィンウッド・バンドにしかできないソウル・サウンド!
そして最後の"Other Shore"も間違いなく今作のハイライトのひとつ。最初のほうは"Slowdown Sundown"や"And I Go"などを彷彿とさせる、スティーヴの夕暮れっぽいナンバー(歌詞はどっちかというと朝日っぽいですが)の系譜に属するものですが、サビでガッツあるブルージーな展開になるのが実にソウルフル。これは興奮します! 終盤のパワフルな演奏もすばらしく、突然熱さを増すリチャード・ベイリーのスティックワークもたまりません。ライヴで見たい!これはバンドメンバーも特別な思い入れのある曲のようです。

この曲もそうですが、グロースターシャーの田舎に長年住んでいるスティーヴ(ナッシュビルに居を移した時期もありましたが…)らしく、自然現象に絡んだ歌が目立つのも今回の特徴。もちろん作詞はピーター・ゴッドウィンなわけですが、スティーヴの生活ぶりを外から見ていて感じたことなども反映されているんでしょう。スティーヴは地元の自然保護活動などにも積極的に参加しているようで、日本盤に付属するDVDにもそのあたりのくだりが出てきます。
ところで表ジャケとブックレット(兄のマフもいますね)に少年時代のスティーヴの写真が出てきますが、なんでも9歳のころの写真らしいですよ。あくまで9にコダワるわけですね(笑)
そしてDVD付き限定版も登場!
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"Nine Lives" Out Now!!(part 2)

今回はメジャーのコロンビアとサインしてのリリースとなった『Nine Lives』ですが、当然スティーヴが前作より名前を使うようになったレーベル" Wincraft"のマークもしっかり付いてます。もちろん録音も同じスティーヴのプライベート・スタジオである"Wincraft Studio"。以前は"Netherturkdonic Studio"とクレジットされていたものを改名したのかもしれないですが。
アソシエイト・プロデューサー(エグゼクティブ・プロデューサー的な意味合い?)のクレジットがあるジョンソン・サマーセット、エンジニアのジェイムズ・トーラー、とスタッフも前作と同じで、マスタリングエンジニア/スタジオも同じ(メトロポリス・スタジオ@ロンドン/トニー・カズンズ)。もちろんスティーヴ自身のセルフ・プロデュースである点も然り。
ということで、単にメジャー・ディストリビュートのシステムを使った自主レーベルからの発売、という形をとっているわけですね。
流通の点で強化がはかられている以外は、前作と同じようにスティーヴのペースで制作されたことが伺え、サウンド傾向も共通点が多くあります。ミキシング的な観点だと、エンジニアが同じだけに、スティーヴの声にかけられたディレイなども前作と近い感触。そんなところもやはり『About Time』と『Nine Lives』は兄弟だな、という感じを受けますね。
1曲目はパーカッションとギター・シークエンスのループの上でスティーヴがアコースティックの弾き語り、という形式の一人多重録音でしたが、2曲目からはバンドが登場。"Fly"はオフィシャル・サイトで発売に先駆けて公開もされていましたが、ジョゼーのガットギターとポールのソプラノサックス等がスパイスになった、マーヴィン・ゲイ風のナンバー。ブラジル音楽とアイリッシュ音楽がスティーヴ流ソウル・ミュージックの中でブレンドされ、文字どおり飛んでいっちゃいそうな気持ち良さです。
ポール・ブースは参加していない3曲目の"Raging Sea"では、迷子になりそうなジョゼーのギター・リフ(ナイロン弦を張ったあの変な形のギターの音ですね)に乗ってスティーヴが歌い出し、おおっと驚かされますが、バンドが入ってくると7拍子のグルーヴなのがわかります。この雰囲気は後期トラフィックやファースト・ソロに見られたクールでプログレッシブな感じだと思いませんか? 個人的にはこの方向性は興奮しますね~。サビに入ると決してルートを弾かないベース・ノートのせいで不思議な浮遊感を生んでいるのもまた個性的。ベース・ギターが入っていない編成を逆手にとったコード感の妙、といえるかも。スティーヴが書いたわけではないけど、"Sea"なんていうブラインド・フェイスを思い出ささせる単語もタイトルに入ってますし、かなり野心的な曲になってます。
4曲目は"Dirty City"ですが、結局スティーヴがストラトキャスターを弾くのはこの曲だけ。終盤にエリック・クラプトンも参加してソロを弾きまくります。内蔵ミッドレンジ・ブースターで太さをかせいでいる音色のエリックに比べ、スティーヴはもう少しナチュラルかつザックリした歪み感(アンプは2003年以降ずっとライヴで使っているフェンダー・サイバー・ツインかな?)で、タイミングの取り方もレイド・バックしているのが特徴。エリックはグレッグ・オールマンなんかと並んで「レイド・バック」を流行らせた1人ではありますが、これを聴くと思いの外突っ込み型で、がむしゃらなギタリストだなあ、なんてことを改めて思いました。スティーヴのほうが本場のサザン・ブルーズ的などっしりしたグルーヴを持っているんですよね。
5曲目のキレ味抜群なファンキー・ナンバー"We're All Looking"ではジョゼーを外して自らギターを弾いています。しかしここはアコースティックのみ、というのがなかなか男らしい選択。サビのアルペジオ、それと中盤のギターソロを弾いていますが実にカッコ良く決めてくれます! ベイシックは当然ハモンドB3で、頭の「ヒャーッ」という音色のインパクトで持って行かれちゃいますね~、やはり。
(さらにPart.3に続く)
"Nine Lives" Out Now!!(part 1)

というわけで、待ちに待った5年ぶりのニューアルバム『Nine Lives』がついに発売となりました。国内盤まではまだひと月あるので微妙にフライング気味ですが…。
当初2月のMSG公演に合わせて発売される予定がここまで遅れ、ヤキモキさせられはしました。しかし!待った甲斐がありました。
当初は『About Time』の続編を作るつもりだった、と語っていたスティーヴでしたが、前作の良さはキープしつつ、新鮮な要素もあり、2003年以降の好調が持続されている感じ。『About Time』を最高傑作と思っていた人も考えが変わるかもしれません。もっとも比較すること自体ナンセンスですけどね。

現在のツアーメンバー、ジョゼー・ネト(Gt)、リチャード・ベイリー(Dr)、カール・ヴァンデン・ボッシュ(Perc)、ポール・ブース(Sax,Fl&Kbd)の4人とのセッションが曲作りの基本となっているらしく、考えようによってはスティーヴを含めた5人のバンドによるアルバムという見方もできるかもしれません。そんなところもちょっとトラフィック的。
前作にひきつづき、もちろん全てハモンドによるベースパートなので、このバンドにしかありえない独自の音像ができあがっているといえます。
前作ではスティーヴ自身の歌詞がいくつかありましたし、奥さんのユージニアや、他にも何人かのソングライティング・パートナーがいましたが、今回は元メトロのピーター・ゴッドウィンが全ての歌詞を書いていて、前作よりも曲ごとにストーリー性を持った曲が多い、という印象もあります。スティーヴとしてもコンセプトアルバムというよりは、9つの異なった命を持つ曲を集めた短編集的なアルバム、という意識があるようです。
今回も基本はハモンドB3を大フィーチャーしたアルバムではあるものの、前作ではまったくギターを弾かなかったスティーヴがいきなりブルージーなアコースティック・ギターを披露するオープニング・ナンバー "I'm Not Drowning"がなんとも意表をついています。このファンキーでメリハリの効いたスティーヴの歌を聴くと、並々ならぬ気合いが伝わってきてゾクゾクしてしまいますね~!この曲のみピーター・ゴッドウィンの歌詞が先に出来、スティーヴが後から曲をつけたそう。ロバート・ジョンスンがまだ生きていて、チェルシーあたりで歌っていたら、というのがテーマの歌詞らしいです。
このスティーヴのアコギ・プレイですが、キーはBフラット。先だってRolling Stone誌のサイトでも見られた弾き語り映像(現在は消されてしまいましたが、YouTubeで復活したので貼っておきます。ちなみに日本盤に付属するDVDはこのドキュメンタリーの字幕付き30分越えのフル・ヴァージョン!)では、レギュラー・チューニングを全弦半音下げにして、Bのフォームでプレイしているのが確認できました。
しかしこれがクセモノ! あくまで主観ですが普通にギターだけ弾いている人だと、あまり発想しないような弾き方。この曲調であれば、レギュラー・チューニングなら開放弦をルート音に使えるEやAのキーで弾きたくなるところでしょう。ところがこれを5弦2フレットをルート音にしたB7(#9)のフォームを基本型に、解放弦なども織り交ぜて、おまけにフラット・ピッキングで不思議なムードのブルーズにしてしまうあたりは何とも驚かされます。映像を見ているとラクに弾いているように見えるし、変なフィンガリングにも見えませんが(普通にEを弾いているように見える)、一応ギター歴30ウン年の私も試してみたところ、スムーズに弾くのはかなり難しいです…。
全曲についてコメントしたいところですが、書いているととんでもない長さになりそうなので(笑)次回に続く…。
なお、現在入手できる『Nine Lives』のバリエーションはこんなにあります。
困ったもんです…。
さらに最新情報

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとのUSツアーが決定しているスティーヴですが、オフィシャルサイトによれば、この前に3本ほど単独のライヴが決まっているようです。
5/4にニューヨークのBlender Theater at Gramercy、5/8のボストンのBerklee Performance Center、そしてイギリスに戻って5/19にロンドンのThe Scalaとなっています。
これが『Nine Lives』収録曲のライヴ初お目見え、となるわけですね。
どちらも追っかけたい気持ちはやまやまですが(苦笑)。
さらにこれに伴うTV出演も色々。こちらもオフィシャルに番組名など出ていますが、
過去にも出たことのある5/6のデヴィッド・レターマン・ショウなどはバンド編成でがっちりスタジオライヴをやってくれるのでは、という気もします。YouTube等にアップされるのを期待したいところ。
加えて、少し前ですが、バークリー音楽大学から名誉博士号を授与される、なんていうニュースもありました。ロックやポップスもこういった権威あるところから評価される時代になったのですね…。
『Nine Lives』はアナログ盤がすでにリリースとなっていますが、CDはもう少しで店頭に並ぶことになります!
というわけで、こんなのはいかがでしょう?
かなり大胆な改変ぶり!
<追記>
それとこんなインタビュー記事もあります。
エリック・クラプトンの先頃出た自伝を読んだスティーヴが、当時のエリックの気持ちを初めて知った、なんて話をしててなかなか興味深い内容です。
Steve Winwood(1977)

スティーヴの記念すべきファースト・ソロ・アルバムは77年の6月、トラフィック解散後3年経って発売されました。3年の間、サルサ界のスーパー・グループ、ファニア・オールスターズの『Delicate and Jumpy』やツトム・ヤマシタのプロジェクト『GO』(いずれも76年)への参加など、ちょっと意外なところに顔を出していたスティーヴでしたが、その成果はこのファースト・アルバムにも反映されているんじゃないかと思います。
当時はソウルやファンク等の音楽がかなり市民権を得てきて、ディスコが世の中を席巻するようになり、どことなくブラック・ミュージックの本質が見えづらくなってきた時期でした。ロックは大産業になってフリートウッド・マックやピーター・フランプトンが特大ヒットしてましたし、日本で人気があった洋楽は私の記憶ではキッスやクィーンやエアロスミスあたり。さらにあの頃はセックス・ピストルズが登場して、パンクとかいうとんでもなくアブナイ音楽があるらしい!なんていうのが新聞などにも載ったおぼえもありますが、そんなちょっと谷間な?時代だったわけです。しかしこのアルバムのサウンドはそんな混乱した音楽トレンドなどどこ吹く風の、黒人音楽をさらに深く咀嚼しまくった、29歳になったばかりの青年がやる音楽にしてはえらく大人っぽい、控えめながらスティーヴ流ソウル・ミュージックがバッチリ表現された名盤だったのです。
最初の"Hold On"はスローなトレモロがかかったローズ・ピアノの響きが時代を匂わせる都会的なサウンド。いきなり夜っぽいムードといいましょうか。ドラムスのアンディ・ニューマークとベースのウィリー・ウィークスの白人黒人コンビは、ジョージ・ハリスンの『Dark Horse』やロン・ウッドの『Now Look』 などで絶妙なグルーヴを聴かせていたリズム隊ですが、この二人をバックにスティーヴがキーボードやギター、コーラスなどを重ねています。トラフィックの"Graveyard People"で初めて手にしたシンセサイザーをここでもかなり活用していて、その後何年かのスティーヴのトレードマークとなる音色も聴けます。
"Time is Running Out"も実に聴き応えのあるパーカッシブなファンキー・サウンド。Bメロの転調がまたスティーヴらしいヒネりが効いてます。リズム隊一丸となったグルーヴが強力ですが、あくまでクールなんですね。これもアンディ&ウィリーのリズム隊ですが、ジム・キャパルディ(作詞も4曲担当)とリーバップ・クワク・バーのトラフィック組がパーカッション部隊として参加してますし、コーラスでクレジットされているニコルという人はスティーヴの最初の奥さんですね。これもギターとキーボード類はスティーヴが全部やっています。
"Midland Maniac"はスティーヴ一人の多重録音。たぶんドラムはこれが初披露だと思いますが、さほど難しいことはやっていないものの、ハイハットワークなどかなりこなれたプレイ。実は昔から結構やっていたんじゃないかと思わせるマルチプレイヤーぶりです。最初バラード調で始まりますが(ここも部分転調とかコード進行凝ってます)、途中すこしレゲエがかった8ビートになったりもします。このあたりはさすが60年代からジャマイカ音楽を紹介していたアイランド・レーベルに在籍していたスティーヴならではといいましょうか。
"Vacant Chair"ではボンゾ・ドッグ・バンドのヴィヴィアン・スタンシャルが歌詞を手がけています。彼はこのつながりで次作以降も詞を提供することになります。
イギリスの名ファンクグループ、ココモからアラン・スペナー(B)とジョン・サスウェル(Dr)のリズム隊が参加。アランはグリース・バンドにいた人ですね。なぜこの曲だけリズム隊を替えたのかちょっと気になりますが。
ちょっとほのぼのムードで始まりますが、中盤のギターソロでマイナーの緊張感ある雰囲気になるのが渋いところ。ここで聴けるスティーヴのギターソロは絶品!たった7小節と短いし、難しいテクニックも全く使っていませんが、音色といい無駄のないフレーズの組み立てといい、彼のキャリア中でも5本指に入る、非常によく歌っている名ソロだと思います。例のシンセもばっちり入っていますね。シンセつながりなのか、3年後の大ヒットシングル、"While You See A Chance"のB面に収められた曲でもあります。
"Lucks Inn"は6/8拍子のイントロから6/4拍子の本編、さらにサビは4/4拍子へ、とちょっとトリッキーなリズム技を効かせたラテン・テイストもあるナンバー。歌に入ってからの転調や、歌い終わりの方の部分転調などはスティーヴならではのアレンジメントの妙。アンディ&ウィリーにリーバップを加えたリズムセクションの強力な魅力もはっきりわかります。
蛇足ですが、これと"Time is Running Out"のちょっと難解な緊張感みたいなものが、新作『Nine Lives』で復活していている、と思うのは私だけでしょうか…。"Raging Sea"などを聴くと、ナルホド、という感じがあると思うんですが。
最後の"Let Me Make Something In Your Life"はスケールの大きなピアノ・バラード。これもアンディ&ウィリーをバックに気持ち良さそうに歌っていますが、思いの外セクションが多くて複雑なつくりだったりして、この時代のスティーヴの作曲傾向がわかります。当時プログレ系とかも案外聴いてたのかもしれませんね。ここでもまた終盤に素晴らしいギターソロを弾いています。
当時の流行りものとはかなり距離のある音楽だったとも言えるし、少し難解なイメージの曲もあったためなのか、残念ながらここからヒットは生まれませんでした。同じ「難解」でもヒット組のイエスやピンク・フロイドのように派手な仕掛けには欠けていましたし。しかしファンの間では非常に愛されているアルバムで、スティーヴのソロの中ではこれが一番好き、という人も少なくないはず。試行錯誤は見えてきますが、やはりタダモノではない!という瞬間が山ほどある名アルバムです。
翌78年にスティーヴは初のソロ・コンサートを行っていますが、それについてはまたいずれ。
Nine Lives発売間近!

さて、刻々と発売日の迫ってきた『Nine Lives』ですが、日本盤のリリースも決定している模様。現在のところ、欧米での発売からひと月遅れて5/28発売ということですが、スティーヴが還暦を迎えた直後の発売となりますね(笑)。どうやらDVDつき仕様も出るようです。気になるDVDの内容ですが、先日のMSGのライヴ映像が入る、なんていう噂もあるとか。正直言えば、あまり小出しにせずにドカーンと長時間収録の単独ソフトとして出して欲しい気もするのですが、真相はいかに。さらには今回なんとアナログ盤も発売されるということで、なかなかコレクター泣かせではあります。
さらには『About Time』のDVDつき仕様も同時にリリースされる模様。『About Time』はこれまで、ボーナスCD付きやデュアル・ディスク付きのものなど、いくつかのヴァージョンが発売されてきていますので、日本盤はそれらの要素を組み合わせたものになるのでしょうか。まだこの渾身の大名盤を聴いたことがない、なんて人がいたらこの機会にぜひ!
それから、新しい"Dirty City" のヴィデオ・クリップが公開されました。これです!
オフィシャルにある、バンド演奏風景のものだけでなく、こんなイメージビデオ風もしっかりつくっていたのですね~。『About Time』のときはPVはなかったので、今回はメジャー復帰ということで、プロモーション的にも力が入っているようです。
スティーヴの持っている水色のストラトはいつもステージで使っているやつかと思いきや、よく見ると色が少し濃いし、ピックアップはレースセンサーではない、通常のストラトのもの。フェンダー・カスタムショップ製57年リイシュー?と思いきやピックガードが10点止め&12フレットのドット間隔が狭いタイプなので、案外最近のアメリカン・スタンダードあたり?(ついついギターのオタク話になってしまってすいません…)
さらにさらに! 長々と書いてきましたが、ここが本日の目玉!
なんとRolling Stone誌のサイトで『Nine Lives』のメイキング&インタビュー映像が見られます!
まずは冒頭の"I'm not drowing"のルーツィーでストレートなアコギ弾き語りにのけぞってください!
アベレージ・ホワイト・バンドなどの英国産ファンキー・ソウルの伝統(というか、そもそもスティーヴがその種をまいた一人なわけですが)を感じる"At times we do forget"、しみじみしたヴァースからブルージー、ソウルフルなリフレインへと盛り上がる"Other Shore"も興奮度高そうな名曲ではないかと。『About Time』とはまた違う方向あり、より推し進めたものもありで、全体的に今までありそうでなかった感触。またしても大名盤の予感ですよ!
Relix

スティーヴ&エリックがRelixの表紙に登場。
MSGの余波はまだまだ続いているようですが、なかなかイイ写真ですよね。
もちろん二人ともすでに初老といっていい域に入ってきて、いわゆるロック第一世代(1940年代生まれのロッカー、とでもいえましょうか)が続々と還暦を迎えているのには、改めて時の流れを感じてしまいますが、年月を経てこそのこの表情なんでしょうね。素晴らしい。
現物をゲットしたくなりました。