Dear Mr Fantasy

ずいぶん早いものですが、今年の1月にロンドンのラウンドハウス・シアターで開催された彼のトリビュート・コンサートが早くもDVD化されました。快挙!
ただ、日本盤も発売されたのはいいのですが、日本語字幕はついていないのは私のような英語の聞き取りに難のある人には不親切かも…。
もちろんジムのトラフィックの相棒、ご存じスティーヴ・ウィンウッドが企画したものですが、そのスティーヴは勿論、ジョー・ウォルシュ、ピート・タウンゼンド、ポール・ウェラー、ヨゼフ・イスラム(ことキャット・スティーヴンス)、ゲイリー・ムーアなど、ブリティッシュ・ロックの大物が多数参加。大いに盛り上がった様子が伺えます。
司会を務めるのはBBCの名物音楽番組だった"The Old Grey Whistle Test"のボブ・ハリス(彼も年をとりましたね…)。
他にもジョン・ロードやビル・ワイマンが脇を固める曲もありますし、名セッション・ドラマーであり、スティーヴの1stや、スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンの『Fresh』での革命的プレイでも知られるアンディ・ニューマークがライヴで叩く姿も貴重。
フリーやバッド・カンパニーで活躍したサイモン・カークはずいぶんスッキリした万年青年ぶりでなんとリード・ヴォーカルまでとっちゃいます。これも実に楽しそうなんですよね。
エリック・クラプトンの73年の復帰コンサートでジムと共演したピート・タウンゼンドが当時の思い出を振り返りつつ、トラフィックの名曲"No Face, No Name, No Number"を独自の解釈で弾き語る場面もハイライトのひとつ。
そして、トリではなく中盤で、ジョゼー・ネトを中心とした自分のバンドを率いて登場するスティーヴ・ウィンウッドは、トラフィック時代のジムの持ち歌だった"Light Up Or Leave Me Alone"を熱唱。これもまた見もの。ファンキー度をアップした新しいアレンジで、スティーヴの最近のツアーでは定番になりつつあります。
そして、最近スティーヴの登場するDVDでも必ず歌っている"Dear Mr Fantasy"もバッチリ決めてくれます。
正直言ってソロ活動で成功したとはいえないジムが、このような大きなリスペクトを受けているというのを不思議に思われるかもしれませんが、彼の作詞がなければトラフィックの名曲の数々は生まれていなかったわけで、詩人としての才能には特別なものがありました。
もちろんその人柄が多くの人を惹きつけていたのはDVDを見てもよくわかります。
しかし、クリス・ウッドも亡き今(デイヴ・メイスンは生きてはいますが…)、トラフィックの再編はあり得ないのだな、と思うと寂しさを覚えるのは私だけではないでしょう。
ジムへの謝辞をコメントするスティーヴの表情にも、それがアリアリで、時の流れを感じてしまうひとときです。
ちなみに、ご紹介したDVDのほかに、同内容のCD版も発売されています。
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